古民家を解体をしながら建物の歴史を身体で感じる
「みんなでつくるシェアハウス」ユウトヴィレッジの次の現場作業がいよいよ始まった。まずは恒例の「壁を壊す会」で、入居予定者を含む有志11名が集まった。改修でいらなくなる壁を自分らで解体するイベントだが、先に壁にペンで「自分の中にある壊したい壁」を書いて、これををぶっ壊すことで自らを変えていくぞという決意の場でもある。 実際は、家の壁に手を加えることは、はじめは何となくおっかないものだ。「簡単に壊せるものなのか?」、「家が崩れてきたりしないだろうか?」など心配になる。しかし、それこそ内なる壁なのだ。できないという思い込みは捨てて、勇気をもってハンマーを振り下ろしてみよう。 このイベントを考え出した背景として、日本人の「建築離れ」に対する危機感もある。建物がどんどんブラックボックス化していき、壁の裏側がどうなっているかすら全く知らなかったりする。そこには、いざとなったら業者さんが何とかしてくれるものという他人任せの甘えが見え隠れする。しかし、現実は、自分の家は自分で守っていかなければならない。その認識のすれ違いによるトラブルが実は多くある。また、知らないことで建物を大事にしないし、そもそも知識がなくてできない。その悪循環は、資産価値の損失という形で自らにはね返ってくるし、ゆくゆくはそんな家ばっかりで大好きな町並みが見る影もなくなってしまうかもしれない。そうなってほしくない。ユウトヴィレッジがすすめるDIYや壁壊しの真の意義は、その悪循環の根っこを絶つための啓蒙活動でもある。 さて、この建物は、昭和39年に一部増築するずっと前から存在し、築年数不詳である。残された古い図面にその歴史を感じさせる。壁を壊しはじめると、中から竹の骨組みが現れた。壁の材料は、土の中にワラが混ぜられたもので、解体中の土ぼこりが凄かった。竹の骨組みは、柱や梁とは緩やかに接合されていて、地震の横揺れに対応した工法となっていると考えられた。今でいう「免振工法」と言える。ワラを入れるのは、コンクリートにガラスファイバーを混ぜ込む最新技術に似たところもあって、昔の職人技術にあらためて敬服した。我々は、土埃にまみれ、その職人技術を体感しながら、丁寧に取り壊し作業を進めていった。 ユウトヴィレッジ品川宿 https://www.facebook.com/yvshinagawajuku
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