外壁は塗装とタイル貼りとどちらがメンテナンスしやすいか


千葉市内のとある賃貸マンションの外壁改修工事が着工となった。これまで3ヶ月ほどかけて、調査、見積りを重ねてきた。外壁改修とひとことで言っても、決して単純なものではなく、計画に思いのほか時間を要した。 発端は、外壁面のタイルが隣地の駐車場に落下したことによるトラブルからだ。築25年を超えていて、コンクリートの劣化が起こっていたのは前から認識はしていたのだが、万一にタイルの剥落がおこっても、敷地に余裕があったから、すぐに隣地に被害は起こらないだろうと油断をしていたのだが、どうやら地上付近に設置されていた水槽タンクに跳ね返って、隣地まで落下タイルが飛んで行ってしまったようだ。油断は禁物とあらためて思い知った。 タイルが剥がれた壁面を見てみると、内部の錆びた鉄筋が浮き出ていた。本来であれば、十分な厚みのコンクリートに覆われているべき鉄筋がむき出しになっていた。いわゆる「かぶり厚さ」が不足していたのが分かる。これは、建物が建てられた当時の施工が下手だった証拠である。そうすると、一事が万事なので、他にも施工不良個所があることが想像されるパターンだ。同様の事故が起こらないように、事前の策が不可避である。 これとほぼ時同じくして、住戸内部での漏水が発生した。出窓の天井部分から雨漏れがしてしまった。状況を見ると、どうも中からはその漏水を止めることができないようで、外部から修繕工事が必要だ。しかし、ここは7階部分で、手が届かない場所だ。こうなると、仮設の足場をかけなければ作業ができない。他の手段としては、屋上から簡易ゴンドラを吊るして工事する方法もあるが、見積もってみると、特殊な高所作業となるため、50万円近くかかることが分かった。このこともあって、こういうことを一々やっていたのでは経済的ではないので、全体の予防保全的な外壁改修をすることが賢明と判断した。 この建物のような鉄筋コンクリート造の外壁改修工事では、主に、壁面のシーリング材(下写真)の更新を行う。これが、壁面のだいたい3~5メートル間隔くらいで縦横に通っている。縦方向のは「誘発目地」と言われるもので、地震時などでの揺れでコンクリート壁面に生じるクラック(ひび割れ)を意図的にその部分で起こるようにして、コンクリート造の宿命であるひび割れをコントロールして、漏水を防ぐ工夫である。横方向のは「水平目地(あるいは打継目地)」と言って、建物を建てる時にワンフロアごとにコンクリートを流し込んで作る関係で、階と階の継ぎ目に目地が出る。この打ち継ぎ部分は漏水の弱点になりやすいので、シーリング材で覆う必要がある。これが水平目地だ。シーリング材には寿命があって、10~15年くらいで更新(打ち替え)が必要とされている。シーリングはゴムのような素材なので、経年劣化で硬化してしまい、止水の機能がなくなってしまうのだ。すなわち、コンクリート造の建物は、それくらいの時期になると、外壁改修(シーリング更新)をしてやらないと、いつ漏水が起こっても不思議でないということになる。

壁面のシーリング材が硬化してひびが入っている。こうなると止水の効果は期待できない。

この建物はタイル貼りでもあるので、壁面全体が塗装仕上げとなっている建物のように、塗装の塗り替えは必要ではない(部分的に塗装の部分はあるが)。代わりに、タイルの打診調査をして、落ちてきそうなタイルがあれば、あらかじめ補修をしておくと安心だ。タイル貼りなので目立ちにくいが、よく見ると壁面にひび割れが生じていることがある。これも放っておくと、タイルの落下や漏水事故につながるので、手当てしておくのに越したことはない。同じようなことは塗装外壁の場合でも必要だが、塗装を塗り直すことで塗膜による防水がある程度期待できるので、そう考えるとタイル貼りのほうがやや厄介とも言える。 新築時の見た目はタイル貼りがきれいで、高級感があるとされるので好まれるが、その分、長い目で見た時にはやや厄介でもある。まず、タイルを部分的に貼り替えた場合に、その部分だけ色が違って見えてしまうことが起きる。そういう建物は街でもよく見かけると思うが、これはかなりカッコわるい。それを防ぐには、全面的に貼り替えるしかないが、必要以上に膨大な費用がかかってしまう。塗装の場合は、どの道、改修の度に(だいたい15~20年サイクルで)全面的に塗り替えるので、その煩わしさがない。塗り替えると新築のようにピカピカになるので、気持ちもいい。配色のデザインを思い切って変えて、建物のイメージを刷新することもできる。色の好みが時代によって変わることもあるので、それができることは建物の資産価値を維持するうえで大事なポイントかもしれない。少なくとも、これから新しく建物を建てる計画をされている方は、参考にしてほしい。

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