なぜ、「ストック活用」が必要か?

不動産ストックが活用されない悪循環

たとえば、空き家問題があります。今、国内の住宅の14%ほどが空き家となっています(アパートの空室なども含む)。人が住まずに建物だけが空っぽのままたくさん存在しています。数でいうと820万戸で、東京23区の人口に匹敵する数の家が余っていることになります。空き家や空室は、その所有者にとっては固定資産税や修繕費などの維持費がかかり、それに見合ったメリットは得られずに、ずっと放っておけば、資産が流出していってしまうだけとなります。個人の資金の目減りによってさらに有効活用のための再投資を滞らせ、増々空き家が放置されることにつながっていきます。これが、ひとつめの悪循環です。

一方、空き家問題の別の側面として、地域への影響があります。空き家ばかりの街では治安が悪くなる心配があるし、空き店舗が並ぶシャッター街のような商店街では増々人が集まらなくなります。そうすると、地域全体で活力が落ち、人口減少経済的な衰退の流れができて、増々の空き家増加を生む悪循環へと陥ってしまいます

これに対して、活用されない建物の解決策として、建て替えがあります。しかし建て替えによって建物の価値が再生される期待はありますが、同時に個人の投資や借金が増大してしまい、必ずしも豊かさに結びつくかは分かりません。安易な建て替えも多くあると考えられます。また、古くからある建物を取り壊して新しい建物にすることが、地域の価値にとってプラスになることばかりではありません。実際に、独特の街並みや景観を無視した乱開発によって、街の個性が失われてしまったところも多いです。人口減少の時代においては、魅力がなくなれば都市間の競争で人々から選ばれない人が集まらない街となり、長期的には地域の不動産価格の下落は避けられないでしょう。これも負の連鎖に拍車をかける要因となります。

また別の側面ですが、安易な建て替えは、業界全体において既存活用のノウハウの蓄積を遅らせているということがあります。既存建物を改修して新しい使い道を考えるよりも、建て替えてしまったほうがずっと簡単なのです。簡単なことばっかりやっていては、難しいことをやっていく力は当然ついてきません。ノウハウがないから、既存活用の検討すらまともにできません。これが日本がずっと歩んできた道のりです。空き家活用の相談を巷の業者に持ち掛けると、「建て替えたほうが早いですよ」と言われることが多いというのが現状です。

こうやって、活用されないまま放置される既存建物が、個人と地域の両面で負の連鎖を形作ってしまい、さらには、個人の損失が税収などを通じて地域経済にも悪影響を及ぼします。そして、地域の衰退は個人が有する不動産の価格にマイナスの影響を与え、個人の損失は一層大きくなっていくでしょう。これが大きな悪循環のサイクルとなり、これらがずっと続いていけば、国民はどんどん貧しくなってしまい、日本という国の魅力もどんどん落ちていってしまいます。「この状況を放っておけない」、というのがストック活用コンセプトの出発点なのです。

<ストック活用が進まない悪循環の構図>

ストック活用の決め手となる方策

 

このような背景から、状況を好転させるのに何が効果的であるかを考え抜いたうえで、エアリーフローではストック活用を進めていく手法として具体的に5つの方策を打ち出しています。

 

  1. 使い方をかえる

  2. 使う人をかえる

  3. 主体をかえる

  4. 意識をかえる

  5. 資金の自由度を高める



使い方をかえる』 コンバージョン推進


建物も長い年月が経ち、元々の造りでは時代に合わなくなってしまっていることが多くあります。「コンバージョン」とは変換という意味です。リニューアルリフォームリノベーションなどを適切に施し、建物の使い道の転換を促します。

 

使う人をかえる』 アロケーション推進


建物の中身はリニューアルなどで再生はできても、その立地や絶対的な大きさまでは変えられません。しかし一方で、家族構成や仕事場所などライフスタイルの変化は人生の中で必然的に起こりうるもので、避けようがありません。そういった住まい手(使い手)と不動産とのミスマッチを解消するには、転居などをするのが効果的です。状況の変化に柔軟に対応できるようにアロケーション(入れ替え)を促します。


主体をかえる』 オーナーチェンジ推進


ストック活用の成否を握るのは、その主体となる「所有者」にほかなりません。オーナーはストックを安全かつ有効に維持し向上させていく社会的責任(所有者責任)があることを忘れてはならないでしょう。何らかの事情でその努めに支障があるようであれば、主体そのものを変えるという解決方法もあるため、それをサポートをしていきます。


意識をかえる』 エンドユーザーサポート


ストック活用の主体となる所有者のほとんどは個人であり、多くは必要な専門的知識を持ち合わせていません。しかし知識なくしてその成功は困難なケースも多く、まずはその自覚から始め、外部の専門家からサポートを受けやすくなるような仕組みを提供します。


資金の自由度を高める』 ファイナンスのバリエーション構築


ストックの活用を通じて投下する資金を上回る見返りが得られると判断されれば、あとはその資金を準備するだけです。ファイナンスでは、資金を有効に配置させる仕組みと意思決定のノウハウが鍵となるため、それらを提供することで、手持ち資金不足によるストックの停滞、放置を回避できるようにしていきます。

 

 

ストック活用の手法として昨今注目を浴びている「リノベーション」ですが、これもあくまでも方法のひとつでしかありません。もちろん、リノベーションがインパクトある手法であることには変わりはありません。大事なことは、手段と目的とを混同せず、状況に応じて多くの選択肢の中から客観的に比較検討し、判断していくことです。

 


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