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ハウスメーカーが進める建物のブラックボックス化

都心からだいぶん離れた町であるが、この一画だけは田園都市沿線のような街路樹の並ぶ落ち着いた住宅街となっていて、どの家もしっかりとした構えをしている。見ると、ハウスメーカーによって建てられた分譲地であることがすぐわかる。 日本では、家を建てる場合にどこに頼むかを考えた時に、大手のハウスメーカーの名前が真っ先に頭に思い浮かぶ。テレビCMなどで親しみがあるブランドだ。積水ハウスやミサワホーム、ダイワハウスなどがそれだ。しかし、実際に建てる場合には、地元の工務店に頼むことが多い。一般的にはそのほうが安く上がるからで、いろいろ検討した結果でそのように落ち着くのだろうが、それでも安いことでの不安もあって、大手の信頼感からやはりハウスメーカーを選ぶ人も多くいる。 ハウスメーカーは、かつての住宅の大量供給時代から、品質とコストの両立を図るために現場作業を減らし、部材の工業製品化を進めてきた。それらは、各社の研究努力の賜物なわけで、当然にそれぞれの特許技術となっている。独自の工法で建てられた家は、建てる時はそれでよいが、それを作ったハウスメーカー以外の手では後から改良を加えたりすることが難しくなる。それが建物のブラックボックス化となっている。 今や「ブラックボックス化」は、家に限らず、車や電気製品などあらゆる商品に及んでいる。品質が高い製品を安く手に入れられることは消費者にとってメリットではあるが、長い目で見た場合には必ずしもそうとは限らない。特に建物に関しては、他の工業製品とは違って、長い年月をかけて使用を続けることが前提であるから、ブラックボックスが致命傷になってしまうこともある。 例えば、将来的なメンテナンスの時などである。修理をしたいと思った時に、そのハウスメーカーしか依頼できないとすると、その修理費用が割高になってしまう恐れがある。その価格に競争原理が働かないからだ。修理をしなければ建替えるしかないような場合は、多少高くてもその代金を払わざるを得ない。足元を見られてしまうわけだ。まさかCMで有名なあの会社がそんな意地悪はしないだろうと信じるしかない。そうでなくても、そのハウスメーカーが倒産してしまうかもしれない。そんな大会社が潰れるわけないという思い込みは今の時代は通用しなくなっている。会社がなくなれば、そのブラックボックスの行き先はどうなるのか保証はない。そういうことが心配であれば、ハウスメーカーの特殊工法ではなく、汎用的な普通の工法で建てられた建物のほうが長い目で見た場合に安心できる。

さて、ハウスメーカー製の家のリフォームを検討しはじめたわけだが、図面が残っていないということで、それを建てたハウスメーカーに問い合わせをした。まず、建物所有者本人でないということで、個人情報の関係で図面を見せることができないという返事だった。これは分かる。それで、所有者本人に連絡してもらえばよいかと聞けば、それも「個人情報でできない」と言う。これはおかしい。本人がいいと言ってる個人情報を一体誰のために守るというのだろうか。そう指摘すると担当者は口ごもったので、「個人情報以外の理由があるのですか?」と聞くと、「そういうわけでは・・」とまたまた歯切れが悪い。それで、「企業秘密だからということですね?」と投げかけると、やっと「まあ・・そういう感じです。」との答えが返ってきた。まったく聞くほうが疲れてしまった。

結果として、本人から連絡してもらうことで、簡単な平面図だけは送ってもらえることになったが、詳細の構造図などは本人でも渡せないということだった。とりあえずは百歩譲るとするが、大掛かりな改修をする場合にはやはり構造図が必要になる。ハウスメーカーからすると、そういう時は自社にご依頼くださいということだろうが、そういう囲い込みがいつまで許されるのか疑問が残る。ハウスメーカー各社は、建物を長く使ってほしいと、長寿命住宅の開発にも力を入れているが、実際にはそれと逆のことをやっていると言っていいだろう。これでは、日本にストック活用の時代は訪れない。

 コンサルティング事例 
どうすればいいのか分からない

自宅や賃貸アパート、ビルなど建物(不動産)もはじめの頃は問題があまりなかったものの、年が経つごとに次第に悩みが多かれ少なかれ生じてきます。気が付くと問題が山積みになっているというようなこともしばしば見受けられます。特に古い建物になればなるほど、そういった傾向が目立ってきます。

古い建物に共通する問題

  • 経年劣化による不具合の問題

  ……漏水、設備故障、ひび割れ、傾きなど

  • 建てた(買った)時からの時代の変化によるミスマッチ

  ……家族構成・勤務先・収入等の変化、時代遅れの設備・耐震・断熱性能など

  • 建物とともにオーナーも歳をとることでの問題

  ……定年退職、気力の低下、親の相続、自分の相続

ある築年数でこれらの問題が一度に押し寄せるため、「どこから手をつけていいのか分からない」という状況に陥りがちです。しかし、複雑に見えることでも冷静に整理すれば、たいてい不動産に関する問題解決のパターンとして大きく以下の5つが考えられるものです。

<問題解決のパターン>
1. 売る
2. 貸す
3. 建替える
4. 使い続ける
5. 上記の組合せ

AIRYFLOWのコンサルティングでは、これらの選択肢を洗い出すところからスタートし、それらを中立客観的にかつ長期的な視点で比較検討して具体的なアクションまでサポートします。

納得できる解決方法が見つかります。
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