マンション内の遊休スペースをカフェやイベントで有効活用

比較的最近に建てられた分譲マンションは、共用施設が盛りだくさんなことが多い。ホテルのようなエントランスロビーをはじめ、シアタールーム、キッズルーム、ライブラリー、茶室、ゲストルーム等々だ。プールや温泉が備わるマンションもある。私もマンション開発の仕事をしていたことがあるのでよく分かるが、共用施設で特徴を出すことは、分譲会社の販売戦略の一環でもある。住戸部分では、いろいろ新しい企画を試みるものの結局は普通の部屋が一番売れたりする。住まいそのものではあまり冒険はしたがらないのが消費者の声なのだろうか。しかし、こと共用施設に関してはそうでもなく、売り出し中の新築マンションを比較する際に必ず共用施設の充実があげられる。分譲会社としては、住戸部分での差別化が難しければ、いきおい共用施設の企画に熱が入る。そうやって、百花繚乱な共用施設があちこちのマンションで取り入れられてきた。

しかし、そこは箱モノ好きのニッポンにありがちな展開で、いざ出来上がってマンションに人が住み始めると、それら共用施設はまるで夢から覚めたかのようにイメージされたような使われ方はされることなく、閑古鳥状態となっていたりする。まさしく「仏造って魂入れず」だ。放っておけば、そのスペースの維持費の問題も出てくるであろうから、もったいないだけでは済まされない。私自身も、その点では過去の反省をしなければならないだろう。 実は、そんな私の罪滅ぼしをしてくれるサービスがある。今日見てきたマンションで導入されている「ユウト」(マンションコミュニティ形成支援サービス)だ。これは、株式会社ディグアウト(東京都中央区)が提供するサービスで、管理組合に代わって、これらマンション内の遊休施設を積極活用し、運営管理をしてくれるものだ。例えば、あまり使われていなかったキッチンスタジオで料理教室を開いたり、その他の共用施設ではヨガ教室、英会話教室を開いたりしている。ラウンジはカフェのようになっていて、その場で注文すると焼き立てのパンが食べられる。カウンターの脇では提携農家から届けられる泥がついたままの採れたての野菜を買うこともできる。年間行事には、ミニコンサートや餅つき大会まで組み込まれている。

夏祭りで行われた「映画会」に集まった子供たち (写真提供:ディグアウト)

キッズルームで毎週開かれている「ヨガ教室」 健康志向な住民が集まる (写真提供:ディグアウト)

あまり使われていなかったキッチンスタジオが料理教室の会場に (写真提供:ディグアウト)

カフェで行われたジャズコンサート。プロのミュージシャンによる演奏に大人も子供も夢中だ (写真提供:ディグアウト)

そうやって、遊休スペースの有効活用が進むこと自体に価値があるが、このサービスの真の狙いは、マンション内のコミュニティ形成にある。この頃のマンションは、徹底的にプライバシー重視で設計されており、その面では快適になったが、隣人との関係は疎遠になりがちだ。昔のようなしょう油を貸し借りし合うような近所づきあいは皆無になった。物質的に満たされた現代ではそれで問題もなかろうが、いざ地震のような大災害になった場合などで、やはり近隣とのコミュニティの絆が大事だと思わされるようなこともある。人間はひとりでは生きていけないわけで、そのテーマに取り組むのがユウトである。 ここのカフェは、マンションのエントランスからメイン通路に面していて、ちょうど学校帰りの小学生が通りがけにカフェの店員さんに「ただいま」「おかえり」と自然に声をかけ合い、「パン焼いといて」と頼んでいる。まるで自分のおばあちゃんにでも言うような親しさだ。この店員さんは、このマンションの近所に昔から住んでいる方で、その下町気質がこの近代的なマンションに絶妙にマッチしていてたりする。別の杖をついた老齢の来客は、常連さんといった感じで有機野菜のねぎをひと束買っていった。そのやり取りは、商店街の八百屋で見るような光景であった。なお、周辺ではそのような商店は影をひそめてしまっているが、マンション内でそれが蘇ったと言える。カフェは自然と溜まり場のようになり、そういう日常的な何気ないやりとりの中でコミュニティは育まれていくのだろう。

コミュニティの中心となるカフェ。 外から帰ってきた住民が気軽に立ち寄る場となっている。

お店には焼きたてパンが並ぶ。 予約しておけば指定の時間に焼き立てを受け取ることもできる。

提携農家から直送される有機野菜。 住民と店員とのやりとりは、商店街の「八百屋」そのものだ。

近所づきあいは心の潤いになる。だが、マンションの場合には、さらに重要なことがある。それは、分譲マンションがそもそも住民の「ひとつの共有物」ということである。将来的に建物が老朽化していったときに、多額の費用をかけての大規模修繕も必要になり、規模によっては億を超えるお金がかかる。その意思決定は、住民同士の合意形成で進めなくてはならない。実際にこれでこじれてしまっているマンションを多く見かける。お金がからむから深刻な問題となるのだ。しかし、元々から住民間でのコミュニケーションがうまくいっているマンションでは、むずかしい合意形成も乗り越えやすい。コミュニティづくりは一朝一夕にはいかず、長い期間で醸成していくものだから、早い段階でその意識を高めていくことはとても重要である。

マンションのストック活用という観点では、最終的にはこの住民コミュニティの質に大きく左右される。修繕も進まず、ボロボロのマンションになってしまうと、売るにも売れず、大きな資産の損失を生む。なので私は、自分の罪滅ぼしもかねて、このようなマンション支援のサービスを応援していきたい。なお、ディグアウトは、マンション居住者向けの専用サイトの構築支援サービスも提供している。これについては、また別の機会に詳しく取り上げたい。 ユウト(マンションコミュニティ形成支援サービス) http://yuu-to.com/ コラボ(マンション居住者専用サイト提供) http://www.m-collabo.com/ ディグアウト(運営会社) http://www.digout.co.jp/

>> 活動日記一覧へ >> コンセプト「ストック活用」

どうすればいいのか分からない

自宅や賃貸アパート、ビルなど建物(不動産)もはじめの頃は問題があまりなかったものの、年が経つごとに次第に悩みが多かれ少なかれ生じてきます。気が付くと問題が山積みになっているというようなこともしばしば見受けられます。特に古い建物になればなるほど、そういった傾向が目立ってきます。

古い建物に共通する問題

  • 経年劣化による不具合の問題

  ……漏水、設備故障、ひび割れ、傾きなど

  • 建てた(買った)時からの時代の変化によるミスマッチ

  ……家族構成・勤務先・収入等の変化、時代遅れの設備・耐震・断熱性能など

  • 建物とともにオーナーも歳をとることでの問題

  ……定年退職、気力の低下、親の相続、自分の相続

ある築年数でこれらの問題が一度に押し寄せるため、「どこから手をつけていいのか分からない」という状況に陥りがちです。しかし、複雑に見えることでも冷静に整理すれば、たいてい不動産に関する問題解決のパターンとして大きく以下の5つが考えられるものです。

<問題解決のパターン>
1. 売る
2. 貸す
3. 建替える
4. 使い続ける
5. 上記の組合せ

AIRYFLOWのコンサルティングでは、これらの選択肢を洗い出すところからスタートし、それらを中立客観的にかつ長期的な視点で比較検討して具体的なアクションまでサポートします。

納得できる解決方法が見つかります