まるでテーマパークのような重要伝統的建築物群保存地区の大内宿


福島会津にある「大内宿」は、茅葺屋根の町並みが見事に保存された国内でも珍しい場所で、まるで時代劇のセットのようだが、セットではなく、実際に江戸時代から街道の宿場町としてあったものだ。もちろん、大河ドラマのロケで使われたりもしている。かつて高度成長期に、建物の近代化の波が押し寄せた時期もあったが、保存活動の高まりもあり、1981年に重要伝統的建築物群保存地区(長いので「伝建(でんけん)地区」と略して呼ぶこともある)に選定された。

人気ナンバーワンの観光地に

伝建地区は国内に112地区(2016年現在)が指定されていて、そのひとつとなるが、ここ大内宿の賑わいは突出している。今や、福島県の観光地として人気ナンバーワン、年間120万人がここに訪れる大観光地となっている。町並みそのものは500mほどだが、その何倍の広さもある広大な駐車場も整備されていて、さながらテーマパークのようである。国内テーマパークランキング3位のハウステンボスが年間300万人程だから、その半分近い集客数はその規模から比較しても、テーマパークを上回っているとすら言える。

実際に歩いてみると、その魅力がうかがえる。建物の雰囲気そのものも見事だが、土の舗装や側溝ではなく水路が整えられていて、もちろん電柱はおろか電線すら見られない(遠くに高圧線の鉄塔が見えてしまうのは残念だが)。その景観演出の徹底ぶりはディズニーランド並みではなかろうか。そして、保存建物の1軒1軒を覗いてみると、思わず手が伸びてしまうような食べ物や土産物がお祭りのようなワクワクさで並んでいる。実演販売も多い。他の伝建地区を歩いてみると分かるのだが、たいていは保存することが目的となっていて、建物の中に入ることすらできない場所も多いのだから、この大内宿の「サービス精神」は見事である。

これからの町並み保存とは?

しかし、建物保存の専門家からすると、この大内宿の様相は「邪道だ」「テーマパーク的だ」という批難もあるらしいが、私は、大事なことはこのような経済的活動によって、地区に金が落ちることだと思っている。保存するだけでは、費用がかかるだけで、その維持を継続的に行うのはなかなかしんどい。福祉予算が年々増大している背景を考えると、税金的な補助も将来的には期待ができなくなってくる覚悟も必要だ。大内宿には、火災時の消火のための「放水銃が」各所に(かつ目立たないように)設置されていて抜かりがない。お金が回っているから、そういう設備投資も可能になる。全国の保存地区を末永く保存し続けるために、大内宿のようなマーケティング活動は避けては通れないのではないだろうか。

地中に埋め込まれた消火活動用の放水銃

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