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「のんべ横丁」〜京成立石駅前再開発で失われていく「横丁」と増える「新・横丁」 



増える新しい「新・横丁」

近年、横丁タイプの店舗(「新・横丁」)の出店が増えている。恵比寿駅前の「恵比寿横丁」を皮切りにRAYARD MIYASHITA PARKの「渋谷横丁」や新宿カブキhall~「歌舞伎横丁」、東京楽天地浅草ビル「浅草横丁」の様な商業施設から、虎ノ門ヒルズビジネスタワーの「虎ノ門横丁」の様なオフィスビルや「アメ横ガード下飲食街」の様な高架下まで様々な施設に導入、はしご楼閣(エムズクロス人形町)では縦積みの横丁「楼閣式横丁」も現れるなど、一種の「横丁ブーム」のような感がある。これら「新・横丁」は、店舗間の壁を取り払い横丁全体に一体感を持たせることで、狭い空間に多様なお店を集め、人と人との距離を近づけることで賑かし感を演出するとともに、様々な世代や人種が混じり合い、出会いが生まれるカオスでワクワク感の溢れる世界を効果的に生み出している。また、店舗側も共用や備え付けの厨房設備等設備を利用することで、出店の初期コストを抑えると共に、トレンドに合わせ業態変更が柔軟にできるとういうメリットがある。コロナ禍で飲食店が苦戦している中でも「新・横丁」の人気は高く、若者を中心に連日大盛況。「渋谷横丁」を手がけた浜倉的商店製作所が「外食アワード2020」を、「浅草横丁」を手がけたスパイスワークスが「外食アワード2022」を、それぞれ授与されている。


再開発で失われる「横丁」

「新・横丁」が増える一方で静かに幕引きする「横丁」がある。ここ京成立石駅北口にある「呑んべ横丁」もその一つである。京成立石駅周辺は、大正時代からセルロイドをはじめおもちゃの工場街として発展したことや、荒川の工事で大勢の労働者が集まってきたことから、大衆向けの安くて美味しい居酒屋が密集し「センベロの街」として日本中にその名が知れ渡る。また、戦後はキャバレーや映画館といった風俗も盛んで、現在もいたるところにその風情が残っている。「呑んべ横丁」は、京成立石駅の北口に昭和28年、洋品店や金魚店など、何でも揃う商店街としてオープン、徐々に居酒屋やスナックが増え飲み屋街へと発展、戦後日本の復興の目覚ましい経済成長の象徴でもあった。しかし、狭い路地に古い木造住宅が密集し、地震での倒壊や火災事故での延焼のリスクが高いことから、京成立石駅北口周辺の再開発計画(立石駅北口地区第一種市街地再開発事業)により、2023年8月に閉鎖、跡地一帯には葛飾区役所や高層マンションが建設される。「新・横丁」が続々と作られる中、再開発等で古くからの「横丁」が減っていく、なんとも皮肉にも感じられる。


「横丁」と「新・横丁」の共通点

「横丁」も「新・横丁」も、狭い空間に多様なお店を集め、人と人との距離を近づけることで、様々な世代や人種が混じり合い、出会いが生まれる場であるという点では共通している。洗練されたお店が増える中にあっても、横丁の狭い空間での密な人と人とのコミュニケーションは求められ、時代に応じた形でアップデートされているのかも知れない。立石駅北口の再開発は、業務棟(葛飾区役所新庁舎)とマンション棟(約600戸)それぞれの低層フロアに店舗区画が設けられている。「呑んべ横丁」をそのまま入居させるとは難しいと思うが、上記の出店の初期コストを下げる仕組み等により、ただ賃料負担力や与信から選別したチェーン店が立ち並ぶといった従来の金太郎飴的再開発ではなく、生活利便施設にプラスαの何か立石の持つ文脈やストーリ、立石らしさのある他再開発とは異なった魅力ある店舗構成になることを期待する。


外食アワード


立石駅北口地区第一種市街地再開発事業



再開発前、人気のない「立石すずらん通り商店街」

再開発に伴い、惜しまれつつも閉店「立石の関所 江戸ッ子」

立石駅南口も今後「再開発」予定

未来の立石はどんな姿になるのだろうか

新・横丁「アメ横ガード下飲食街」


 コンサルティング事例 
どうすればいいのか分からない

自宅や賃貸アパート、ビルなど建物(不動産)もはじめの頃は問題があまりなかったものの、年が経つごとに次第に悩みが多かれ少なかれ生じてきます。気が付くと問題が山積みになっているというようなこともしばしば見受けられます。特に古い建物になればなるほど、そういった傾向が目立ってきます。

古い建物に共通する問題

  • 経年劣化による不具合の問題

  ……漏水、設備故障、ひび割れ、傾きなど

  • 建てた(買った)時からの時代の変化によるミスマッチ

  ……家族構成・勤務先・収入等の変化、時代遅れの設備・耐震・断熱性能など

  • 建物とともにオーナーも歳をとることでの問題

  ……定年退職、気力の低下、親の相続、自分の相続

ある築年数でこれらの問題が一度に押し寄せるため、「どこから手をつけていいのか分からない」という状況に陥りがちです。しかし、複雑に見えることでも冷静に整理すれば、たいてい不動産に関する問題解決のパターンとして大きく以下の5つが考えられるものです。

<問題解決のパターン>
1. 売る
2. 貸す
3. 建替える
4. 使い続ける
5. 上記の組合せ

AIRYFLOWのコンサルティングでは、これらの選択肢を洗い出すところからスタートし、それらを中立客観的にかつ長期的な視点で比較検討して具体的なアクションまでサポートします。

納得できる解決方法が見つかります。
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