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賃貸住宅業界最大級イベントで「空き家ビジネス」について語る



「賃貸住宅フェア」について

「賃貸住宅フェア」は、『全国賃貸住宅新聞』・『家主と地主』が主催する家主、地主、不動産会社、そして賃貸住宅市場に関わる全ての人向けに、セミナーや企業の展示ブースで賃貸業界の最新情報を届ける賃貸住宅業界最大級のイベント。不動産業務支援システムや住宅設備・建材など賃貸住宅関係の企業約200社がブース出展。また、空き家をリノベーションしている事業者や、管理業を展開している企業などが集い「空き家活用サミット」を初開催し2日間で6つのセミナーを実施。今年は、7/20日21日の2日間で1万6,758人が来場した。


「空き家活用サミット」では、「空き家1,000万戸時代」が到来すると言われ空き家が増える中、その背景や課題を共有、空き家を活用するための方策について、横浜市立大学国際教養学部齊藤広子教授やエンジョイワークス福田和則代表取締役が初日に登壇。2日目には、0円都市開発の中村領代表、On-Coの水谷岳史代表取締役と弊社代表藤木3名が登壇し、空き家マッチングサイトのユーザーである買いたい人、借りたい人のニーズについて事例を交え対談した。


中村代表は、不動産処分の実体験をもとに、2019年より日本全国から値段がつかない、あげたい不動産を募集し取得希望者とのマッチング不動産サイト「みんなの0円物件」を運営。これまでの取扱物件数は1,000件を超え、新たな流通・活用の方法として注目されている。


水谷代表取締役は、物件情報を掲載するのではなく「こんなことをしたい」「こんなお店を出したい」という借り手の目的をサイトに掲載し貸し主を募集するマッチングサイト「さかさま不動産」を運営。募集の起点が物件ではなく借り手の目的と従来の物件の探し方とは「さかさま」である点がユニークと注目されている。


藤木は、ゼネコンで現場監督、建築設計事務所で設計、住宅デベロッパーを経て、不動産ファンド会社にて不動産投資信託やオフィスビル、商業施設などの証券化不動産のアセットマネジメントに携わった後、2011年に家いちばの前身となる不動産活用コンサルティング会社、エアリーフローを設立。2015年から不動産仲介会社を介さずに売主と買主とが直接交渉するマッチングサイト「家いちば」を運営。現在、サイトでの取引は活発で、売買実績は700件を超え、1物件あたり平均で15人ほどから問い合わせが入る状況。空き家問題に関しては、「活用促進に重要なのは流通と出口戦略」といい、空き家に融資がつかない状況を問題視している。


「空き家ビジネス」の課題

「空き家問題」の一番大きな課題は、誰もが「空き家は売れない」と思い込んでいること。持ち主だけでなく、まわりの不動産業者や行政、専門家など、すべての人たちが、売れないと思っているため、空き家「流通」市場に出こない。特に、やや難がある物件についても、それ相応に値段を下げていけば、必ず買う人が現れる。要するに、価格の問題である。言い替えると、価格をニーズに合わせて自由に設定できる「市場による価格調整機能」の問題だと考える。これは、従来の不動産「流通」の仕組みに欠けていた点と思う。二番目には、制度的な全体の方向性に根強く「買主保護」にやや偏っている。しかし、本来、売り手も買い手も対等で、どちらも保護すべきだと考える。買い手を保護すればするほど、売り手が売りづらくなり、流通が滞ります。こういう視点に今の制度が欠けていると感じる。言い方を変えると、売り手の責任義務ばかりでなく、買い手の責任義務も考えましょう、ということだ。家いちばでは、セルフサービスをベースにしていることもあり、買い手の「自己責任」の感覚が自然と身につくようで、例えばちょっと難がある、すなわち多少リスクのある物件でも、自分の責任で買う判断をして購入する。それが飲み込める価格を自分で納得して決めているからでもある。このように、仕組みの工夫で、「流通」が進む仕掛けとなっている。すべての人にこの方式が向いているとは限らないが、これが、不動産「流通」のひとつのやり方として定着してもいいと考えている。


「空き家問題」の解決策

空き家だけではなく、古い建物や中古住宅を自由に安全に「流通」できる市場を作っていくことが解決につながると考える。「流通」市場ができることではじめて活用ができる。活用するには、何らかの費用がかかる。すなわち投資。投資には必ずリターンが必要なため、お金をかけてリスクをとって活用するなら、最終的にある程度の値段で売れるという前提が必要となる。今は、空き家が安すぎる。制度的に、高く売れる環境を作らないで、活用だけやれと言うのは酷な話。今、家いちばで売られている空き家は、少しずつ相場が上がっていると感じており、それは正しい方向に向かっていると考える。


また、「流通」をせずに活用をする、ということは、持ち主はそのままで活用をするということだが、活用するには何らか費用がかかるため、持ち主にとってかなり重荷になるこがも多い。例えば、賃貸に出す場合でも、それ相応に設備などを整備しないと入居する人が生活すらできない。また、貸している間も、ずっと所有者としての責任がかかる。活用ありきの施策がなかなか進まないのはこのためだ。ます、先に「流通」をして所有者を変え、「活用できる」「活用したい」という意欲がある人にオーナーチェンジをすれば、ほっといても活用が進む。すなわち、「先に流通ありき」というのが解決策として有効と考える。


次に解体については上述の通り、どんなに古い家でも買い手がいるのに、それに費用をかけて取り壊してしまうのはもったいない。誰も得をしない。しかも、これを補助金で行うケースが増えており、貴重な税金を無駄なことに使ってしまっていないかと、危惧する。この施策の問題は、本来は、建物を大事にしてきた人に褒美を与えるべきなのに、建物をずっと放置してきて解体するしかない状況になっている人に手厚く保護することにある。「いずれに税金で何とかしてくれる」という発想が広がってしまえば、これはモラルハザードになる。この流れを変えるべきだと考えている。SDGsが求められる時代にこれまでのようなスクラップアンドビルトでは、社会全体が後悔することになりかねない。


今後の展望について

「流通」により空き家問題はすでに解決したと考えている。どんどん「流通」させていけば良い。実際に家いちばでも、1物件あたり平均15件の問い合わせが入っている。また、これまでは「買ったらおしまい」の様な感覚があったが、これは「流通」市場がしっかりしていなかったからと考える。しかし、市場で買った物件は、市場で必ず売れるという原則がある。購入時より値段下がってしまうこともあるが、上がることもある。しかし、ゼロ円になることはほぼ無い。これが不動産特有の「資産性」である。家いちばでは、中古車を買うような値段で家が買えるが、この「資産性」の部分で自動車と不動産で大きく異なる。そして、「流通」市場を含め環境を整備することで、将来的により高く売れる可能性があるから建物を大事にするようになる、そうなるような健全な市場を作っていくべきだと考えている。大事に修繕などして使っていけば、自分自身も快適に過ごせる。その積み重ねが、日本の住宅環境全体の向上につながる。また、歴史的な建造物を保存活用していく流れも自然とできていくと考える。現状では、古民家や洋館など歴史的な建造物が惜しまれつつ解体されるケースも多くみられる。この流れを変えていくことも弊社のミッションの一つと考えている。


空き家活用サミット


家余り1000万戸時代へ 「住宅リストラ」待ったなし(日本経済新聞2022年9月4日)





「賃貸住宅フェア2023 空き家活用サミット」当日の様子

 コンサルティング事例 
どうすればいいのか分からない

自宅や賃貸アパート、ビルなど建物(不動産)もはじめの頃は問題があまりなかったものの、年が経つごとに次第に悩みが多かれ少なかれ生じてきます。気が付くと問題が山積みになっているというようなこともしばしば見受けられます。特に古い建物になればなるほど、そういった傾向が目立ってきます。

古い建物に共通する問題

  • 経年劣化による不具合の問題

  ……漏水、設備故障、ひび割れ、傾きなど

  • 建てた(買った)時からの時代の変化によるミスマッチ

  ……家族構成・勤務先・収入等の変化、時代遅れの設備・耐震・断熱性能など

  • 建物とともにオーナーも歳をとることでの問題

  ……定年退職、気力の低下、親の相続、自分の相続

ある築年数でこれらの問題が一度に押し寄せるため、「どこから手をつけていいのか分からない」という状況に陥りがちです。しかし、複雑に見えることでも冷静に整理すれば、たいてい不動産に関する問題解決のパターンとして大きく以下の5つが考えられるものです。

<問題解決のパターン>
1. 売る
2. 貸す
3. 建替える
4. 使い続ける
5. 上記の組合せ

AIRYFLOWのコンサルティングでは、これらの選択肢を洗い出すところからスタートし、それらを中立客観的にかつ長期的な視点で比較検討して具体的なアクションまでサポートします。

納得できる解決方法が見つかります。
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