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震災復興100年、モダンな昭和レトロ建築〜「復興小学校」の保存と活用



関東大震災復興事業

40歳代より上の方は、ファッションやトレンドを楽しむ若者達であふれる表参道や代官山の地にあった「同潤会アパートメント」と呼ばれる、木々の緑に覆われたモダンな集合住宅群のことを覚えている方も多いと思う。これら「同潤会アパートメント」は、1923年大正12年)に発生した関東大震災で多くの被害を受けた家屋が密集した市街地に震災の罹災者むけに耐震・耐火の鉄筋コンクリートで建設された近代日本で初期の鉄筋コンクリート造集合住宅である。関東大震災後の帝都復興事業では、東京・横浜を中心に火災による被害が大きかったため火災対策が喫緊の課題であった。そのため、「同潤会アパートメント」をはじめ中央区立泰明小学校や台東区立黒門小学校などの小学校が、耐震・耐火建築のために最新技術であった鉄筋コンクリートで建築された。また、火災の延焼を防ぐため、大規模な区画整理事業により浜町公園や山下公園などの公園や昭和通り(1号幹線)や靖国通り(2号幹線)などの街路が整備、今日の東京の骨格をなす道路網が形成された。また、先日跡地の活用が取り上げられた「築地中央卸売市場」も日本橋から築地へ移転、整備された。


復興小学校とは

関東大震災後の耐震・耐火のため、当時の先端技術であった鉄筋コンクリートで建築された小学校は、「復興小学校」と呼ばれ都内に117校建築された。「復興小学校」の校舎は、採光・通風を重視し教室を南面に配置したL字型やコ字型に設計され、設計実学や科学など特別室の設置、生徒の健康と安全のための水洗トイレや暖房器具、シャワー室も設けられた。また、室内換気に配慮し設計されたた高い天井高や、災害時の避難のための広めの廊下幅・階段幅など、その設計思想は今の小学校設計のモデルとなっている。デザインにおいても曲線・曲面などを多用した、前進的かつ特徴的なデザインで100年近くの時を経た現在においても、古さを感じさせない目を引くデザインである。また、「復興小学校」は、延焼防止と地域の防災拠点として隣接する小公園と一体的に「復興小公園」も整備、小学校校庭の延長や教育のための菜園や近隣住民の憩いやコミュニティの場として使用され親しまれた。


100年建築として

関東大震災を機に耐震・耐火建築として建築された「同潤会アパートメント」や「復興小学校」の建物は、都市化と老朽化の中惜しまれつつも数多くが姿を消している。「同潤会アパートメント」は、一部表参道ヒルズに再建された同潤館を残し、ほとんどが姿を消している。「復興小学校」も都内に117校が建築されたうち、大規模改修等のリノベーションを実施し、今も現役の小学校として使われているのは、前述の泰明小学校や黒門小学校をはじめ約10校のみとほとんどが姿を消している。一方、小学校としての役割を終えた後も、劇団の練習場や保育園、ケアサポートセンターにリノベーション、コンバージョンし活用されることで、今も人々に親しまれている水天宮ピット(旧中央区立箱崎小学校)や十思スクエア(旧中央区立十思小学校)の様な例もある。また、旧文京区立元町小学校の様に、民間の資本により整備、利活用される新たな取り組みもあり、今後の民間資本の歴史的公共施設への展開に期待が高まる。一般的に鉄筋コンクリートビル自体の物理的な寿命は100年以上と言われているが、国土交通省の「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」よると、鉄筋コンクリート造の耐用年数は120年、外装仕上げで延命した場合150年とされている。日本では、1911年に竣工した三井物産横浜ビルが関東大震災にも耐え今もオフィスビルとして使われていることなどから、鉄筋コンクリート造の耐久性が100年以上である事を証明しており、適切なメンテナスとアイデア、そしてソフトのアップデートにより建て替え以外での活用の選択肢が多数あると考える。




(仮称)元町ウェルネスパーク(旧文京区立元町小学校の保存・活用)


「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」国土交通省


今も現役の小学校、アーチ状の窓や曲線が目を引く「黒門小学校」


惜しまれつつ解体が決まった「旧下谷小学校」


御徒町台東中学校(旧:御徒町小学校)に隣接する「復興小公園」


関東大震災の復興計画として整備された横浜、「山下公園」と「ニューグランドホテル」

(山下公園は関東大震災のガレキを埋め立て整備)


復興小学校と同時代に建築され今も現役の銀座「奥野ビル」

(竣工年:旧館1932年・新館1934年)


 コンサルティング事例 
どうすればいいのか分からない

自宅や賃貸アパート、ビルなど建物(不動産)もはじめの頃は問題があまりなかったものの、年が経つごとに次第に悩みが多かれ少なかれ生じてきます。気が付くと問題が山積みになっているというようなこともしばしば見受けられます。特に古い建物になればなるほど、そういった傾向が目立ってきます。

古い建物に共通する問題

  • 経年劣化による不具合の問題

  ……漏水、設備故障、ひび割れ、傾きなど

  • 建てた(買った)時からの時代の変化によるミスマッチ

  ……家族構成・勤務先・収入等の変化、時代遅れの設備・耐震・断熱性能など

  • 建物とともにオーナーも歳をとることでの問題

  ……定年退職、気力の低下、親の相続、自分の相続

ある築年数でこれらの問題が一度に押し寄せるため、「どこから手をつけていいのか分からない」という状況に陥りがちです。しかし、複雑に見えることでも冷静に整理すれば、たいてい不動産に関する問題解決のパターンとして大きく以下の5つが考えられるものです。

<問題解決のパターン>
1. 売る
2. 貸す
3. 建替える
4. 使い続ける
5. 上記の組合せ

AIRYFLOWのコンサルティングでは、これらの選択肢を洗い出すところからスタートし、それらを中立客観的にかつ長期的な視点で比較検討して具体的なアクションまでサポートします。

納得できる解決方法が見つかります。
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