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住むこと、働くこと、地域に開いた「小商い建築」



「小商い」のある生活

今、リモートワークや他拠点居住をはじめ働き方が変化する中、「小商い」のある生活が自分らしい生き方の一つとして注目を集めている。今回訪問した「欅の音terrace」もその一つ。木陰のある広いオープンテラスでは定期的に「小商い」を行う入居者を中心にマルシェ等が開催され、地域の人と入居者、地域の人同士の交流の場となっている。訪問した日は、ちょうど夏祭りの期間で郡上おどりの催しが行われ、近隣住民の方も参加し盛り上がりを見せていた。ふりかえると江戸のむかし、働く場所と住む場所は、物理的・精神的に分離された職住分離ではなく職住一体、つまり「働く人」=「住む人」の生活があたりまえであった。町の中心部も表店と裏長屋からなり、裏長屋には版画師の隣には木工職人、その隣には染物職人の一家、井戸は共同で使うといった形で暮らしていた。ナリワイから暮らしぶりまで手に取るように分かる者同士の交流や情報交換等のコミュニケーションがあった。そんな暮らしを現代版にした職住一体の地域に開いた新しい生活の場が「小商い建築」である。「小商い建築」では、住戸の表側に店舗を設け、住む人それぞれが自分の思いから無理せず身の丈で「小商い」(スモールビジネス)をはじめ、近所の顔の見えるお客さんに商品を手渡すことによって人と人のコミュケーションが生まれ、地域の小さな経済圏を活発にする。つまり、「小商い」を通じ生活する地域との一体感を生み、地域と関わることへになる。やがて、「小商い」を「ナリワイ」とする人たちが増えることで、地域や町はただ消費されるだけのものではなく、共に生活し作り上げるものになると考える。


ナリワイと暮らしの両立

「欅の音terrace」は、練馬桜台で展開される“ナリワイと暮らしを両立”する「ナリ間ノワ プロジェクト」の中心として、2018年に築40年弱の鉄骨造りの共同住宅をリノベーションして開業した。『ナリワイを持つ方にこそ住んでもらいたい』という不動産オーナーの思いから、1階は店舗兼住宅の「しっかりナリワイ」、2階は商品を飾れるディスプレイ窓のある「ちょこっとナリワイ」の住まいながら商いのできる 「ナリワイ型賃貸集合住宅」である。かつての日本の町家のように、前でナリワイ、後ろで暮らすスタイル。リーシングを担当するスタジオ伝伝さんにお話を伺うと、お店は、週に何日以上お店を開けなくてはいけない、同じ業態の出店ができないなどのルールに加え、第一種低層住居専用地域のため店舗面積の制限等があるが、入居希望者が多い人気物件とのことだ。『町のあちこちに点在する建物を同じ考えに沿って改修することで、住まれる方々が互いに、地域に繋がっていく・・・』との思いから、2022年欅の音terrace の隣に "vita passo楓の樹"を築約30年のRC造賃貸住宅をリノベーションし開業、プロジェクトの第2弾をスタートしている。


ひとりひとりが主役

「ナリ間ノワ プロジェクト」は、オーナーがただ住む場や建物を用意するのではなく、人と地域とが「ナリワイ」を通じて巡り会い、つながる機会を作る空間。巡り会うことで交流が生まれ、地域コミュニティが活性化、長い目で見ると町や地域全体の価値を高めることへと通じる。これは、行政やデベロッパー等大規模資本による「大きなまちづくり」や「大きなストーリー」とは一線を画しており、住民や町に関わるひとりひとりが主体性を持って取り組む「小さなまちづくり」や「小さなストーリー」とも言える。時間のかかる取り組みではあるが、一人一人の主体的な活動により身の回りの小さなことからすぐに始めることができる。また、既存の建物や地域のストーリー等身の回りのストックを活用した持続可能な社会の実現は、ひとりひとりの活動から始まると考える。


ナリ間ノワ


株式会社スタジオ伝伝

郡上おどり


さまざまな「小商い」

親子で楽しめる駄菓子屋さん

「小商い」の様子がわかる小窓

赤い階段とテラスを通じ人が交わる

vita passo楓の樹

オープンテラスで開催していた郡上おどり

例年7月中旬から8月下旬頃まで開催、徹夜踊りは8月中旬の4日間


 コンサルティング事例 
どうすればいいのか分からない

自宅や賃貸アパート、ビルなど建物(不動産)もはじめの頃は問題があまりなかったものの、年が経つごとに次第に悩みが多かれ少なかれ生じてきます。気が付くと問題が山積みになっているというようなこともしばしば見受けられます。特に古い建物になればなるほど、そういった傾向が目立ってきます。

古い建物に共通する問題

  • 経年劣化による不具合の問題

  ……漏水、設備故障、ひび割れ、傾きなど

  • 建てた(買った)時からの時代の変化によるミスマッチ

  ……家族構成・勤務先・収入等の変化、時代遅れの設備・耐震・断熱性能など

  • 建物とともにオーナーも歳をとることでの問題

  ……定年退職、気力の低下、親の相続、自分の相続

ある築年数でこれらの問題が一度に押し寄せるため、「どこから手をつけていいのか分からない」という状況に陥りがちです。しかし、複雑に見えることでも冷静に整理すれば、たいてい不動産に関する問題解決のパターンとして大きく以下の5つが考えられるものです。

<問題解決のパターン>
1. 売る
2. 貸す
3. 建替える
4. 使い続ける
5. 上記の組合せ

AIRYFLOWのコンサルティングでは、これらの選択肢を洗い出すところからスタートし、それらを中立客観的にかつ長期的な視点で比較検討して具体的なアクションまでサポートします。

納得できる解決方法が見つかります。
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